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朝靄(あさもや)も冷(ひ)える日(ひ)が続(つづ)きます。 |
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お変(か)わりなど御座(ござ)いません様(よう)に。 |
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十二月(じゅうにがつ)の陽射(ひざし)しにも慣(なれ)れる頃(ころ)、 |
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思(おも)い出(だ)すことばかりが増(ふ)えます。 |
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雪暮(ゆきぐ)れ。 |
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冬(ふゆ)の匂(にお)いが立(た)ち籠(こ)めれば、 |
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ワインレッドのカーテンが躍(おど)る。 |
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そんな夜(よる)には、 |
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この場所(ばしょ)から見(み)える月(つき)が、 |
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貴女(あなた)の瞳(ひとみ)を同(おな)じ様(よう)に彩(いろど)っていて欲(ほ)しいのです。 |
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夢(ゆめ)は夢(ゆめ)の中(なか)で、 |
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今(いま)でも止(と)まったままで寄(よ)り添(そ)っています。 |
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「ねぇ メイドさん」 |
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「はい？」 |
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「やっぱりさぁ 人間は不公平だよ、百年やそこらで消えてしまうなんて」 |
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「私達はそれで十分なんですよ」 |
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「あぁ でもあなたはそのくらい、なんとか出来るんじゃないの？」 |
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「どうでしょう」 |
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「もっとおいしいお茶が飲みたいなー」 |
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「考えておきます。」 |
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不意(ふい)に背伸(せのび)びをした後(あと)、 |
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優(やさ)しく髪(かみ)を撫(な)でるその指(ゆび)が |
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何(なに)もかもが。 |
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愛(いと)おしいのです。 |
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始(はじ)まる度(たび)に終(お)わってゆくおとぎの世界(せかい)で、 |
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ひとつくらい嘘(うそ)をついてもいいでしょう？ |
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.赦(ゆる)される身(み)だとしても貴女(あなた)に召(め)されたい、 |
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心(こころ)より深(ふか)い所(ところ)でそう思(おも)うのです。 |
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「生(い)きている間 (あいだ）はずっと一緒(いっしょ)にいますから」 |
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私(わたし)以外(いがい)すべて此処(ここ)に残(のこ)すから、 |
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また逢(あ)えるから、 |
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呼吸(いき)を、止 (と)め、て。 |
