| [00:00.00] |
2036年5月6日3時2分 |
| [00:09.37] |
あの日以来 紅莉栖さんは本当に実験を中止してしまった |
| [00:15.25] |
その理由について |
| [00:17.25] |
あたしにも父さんにも何も話そうとしてくれなかった |
| [00:23.25] |
だからこうしていま 紅莉栖さんの家の 「開かずの部屋」に忍び込んで |
| [00:28.87] |
そのピーシーを勝手に見させてもらってる |
| [00:33.25] |
あの人は何かを隠してるんだ |
| [00:37.25] |
それを話してもらえなかったことが |
| [00:39.75] |
悔しくて 突き止めたくて |
| [00:45.50] |
それにしても |
| [00:47.50] |
今時こんな骨董品レベルのパソコンを現役で使ってるなんて |
| [00:53.37] |
ネットワークに繋げずに使えるから |
| [00:55.87] |
ハッキングされる心配はないんだろうけど |
| [01:04.12] |
なんだろう このファイル |
| [01:06.62] |
「ORについて」か |
| [01:14.25] |
セキュリティロックがかかってる掛かってる |
| [01:16.87] |
でも この程度のもの |
| [01:19.62] |
父さん直伝の技で |
| [01:26.37] |
よし 解除 |
| [01:29.75] |
開いた |
| [01:31.37] |
これは紅莉栖さんの日記 |
| [01:34.62] |
ORっていうのはなんだろう |
| [01:37.62] |
ええと |
| [01:40.25] |
出た |
| [01:42.37] |
岡部倫太郎とR世界線についての仮設 |
| [01:48.12] |
すごい びっしり書き込まれてる |
| [01:52.62] |
岡部(okabe)倫太郎(rimtaro) |
| [01:55.12] |
誰だろう |
| [01:56.62] |
ごめん 紅莉栖さん |
| [01:58.75] |
勝手に見させてもらうけど 許して |
| [02:04.62] |
カレについて思い出したきっかけがなんだったのか分からない |
| [02:11.37] |
確かなのは私が彼と最後に話したのは |
| [02:16.62] |
2011年8月4日だということ |
| [02:22.00] |
それ以降 彼の存在は世界中のどの記録でも出てこない |
| [02:29.12] |
痕跡は消え去ってしまった 世界から否定されてしまったかのように |
| [02:36.12] |
今や 誰も覚えていない |
| [02:39.12] |
私の記憶の中だけいる |
| [02:43.00] |
私って 彼が本当にいったのか 証明する術はない |
| [02:49.75] |
辛うじて言えるのは今現在ではアトラクターフィルド理論が確立されているという事実 |
| [02:58.00] |
岡部はその理論について二十五年も前に話してくれた |
| [03:03.75] |
それが証拠といえば証拠だろうか |
| [03:09.12] |
気がつけば 彼が消えてしまった原因はあれこれ考えている |
| [03:15.75] |
大体の仮説もできた |
| [03:21.12] |
そのカギは彼が持つリーディングシュタイナー |
| [03:27.25] |
世界線を越えて記憶を維持する能力 |
| [03:30.75] |
より鮮明なデジャ(ヴュ) |
| [03:36.12] |
その力を持つが故に |
| [03:38.50] |
今私がいるこの世界線 |
| [03:41.87] |
シュタインズゲートの負荷をもろにゆけ |
| [03:44.75] |
彼の脳が耐えられなくなったのだと 私は見ている |
| [03:50.62] |
その結果 この世界線を現実だと認識できなくなり |
| [03:55.62] |
やっがて脱落した |
| [03:57.37] |
あるいはほかの世界線こそが 自分のいるべき場所だということを受け入れた |
| [04:06.25] |
いずれにせよ |
| [04:07.87] |
岡部は世界内存在であることを放棄したんだ |
| [04:16.00] |
彼への感情は今も確かに残っている |
| [04:21.87] |
というより その感情を思い出してしまった |
| [04:26.25] |
とても瑞瑞しく |
| [04:28.50] |
とても苦しく |
| [04:31.37] |
とても懐かしい感情 |
| [04:37.00] |
仮に岡部をこの世界線へと連れ戻すために 今のところ最も最善だと思われる方法を以下に手実 |
| [04:48.25] |
プロセス一 |
| [04:50.12] |
タイムマシンで岡部が消えるより前2011年8月4日以前へと |
| [04:56.25] |
物理的に戻ること |
| [05:00.62] |
幸いなことに |
| [05:02.37] |
私はなぜか自分がタイムマシンを作っている記憶も思い出している |
| [05:08.62] |
それをこの世界線でも開発できるかもしれない |
| [05:15.87] |
2011年に戻ったとしても当時の誰にも協力を頼むことができない |
| [05:23.12] |
因果の輪を飛び越えた人間でないと岡部が消えることを観測できないだろうから |
| [05:30.62] |
当時の私のように |
| [05:35.37] |
プロセス二 |
| [05:37.12] |
岡部にシュタインズゲート世界線こそが現実であると認識できるような強烈な記憶を植え付けること |
| [05:46.12] |
ほかのあらゆる世界線の記憶を上回るような |
| [05:49.12] |
一生忘れない強烈なもの |
| [05:53.62] |
私って それが具体的にどんな記憶なのか さっぱり思いつかないけれど |
| [06:02.37] |
もし成功すれば |
| [06:04.37] |
岡部はこの世界線に 私たちの前に戻ってくるかもしれない |
| [06:11.87] |
彼を連れ戻すためにタイムマシンを使うのは |
| [06:14.75] |
仮説では 過去改変には当たらない |
| [06:19.62] |
二十五年前岡部は消えたけど |
| [06:23.25] |
岡部のことを思い出した私はこうしてここにいるんだから |
| [06:32.50] |
かつて岡部がただ一人で戦い抜いた |
| [06:35.12] |
世界線を飛び越えての戦いとはわけが違う |
| [06:42.62] |
岡部倫太郎は世界の中心でも創造主でもない |
| [06:49.12] |
彼が消えたのはほかの世界線に移動したからではない |
| [06:54.37] |
彼はつねにこの世界線に寄り添っている |
| [06:59.12] |
ここにいるけれど 同時にここにいない |
| [07:06.75] |
重ね合わせの状態なのではないか |
| [07:11.87] |
私の立てた計画は |
| [07:13.87] |
そんな彼の手を ちょっとだけこちらにひっ張り戻してやること |
| [07:18.37] |
それなら タイムパラドックスを起きない |
| [07:21.75] |
世界線が変動することもない |
| [07:26.37] |
これが仮説としか言えないのがもどかしい |
| [07:34.50] |
ね 岡部 |
| [07:36.37] |
結局私とあなたの決定的な差は |
| [07:40.75] |
あなたがアプリオリな存在であり |
| [07:43.62] |
私がアポステリオリな存在というところなのかもしれないわね |
| [07:56.50] |
やっぱり何も知らなかった |
| [08:10.37] |
2036年5月6日 |
| [08:14.25] |
5時10分 |
| [08:21.62] |
鈴羽 |
| [08:22.62] |
ああ 父さん |
| [08:25.37] |
どうしたの 家の前に突っ立って |
| [08:28.62] |
今朝の5時だよ |
| [08:30.37] |
それはこっちのセリフだつうの |
| [08:34.00] |
年頃の娘が朝帰りとか |
| [08:38.50] |
父さんは 父さんは |
| [08:42.00] |
つまりあたしの帰りを待ってたわけ |
| [08:45.37] |
娘の心配しない父親はいないよ |
| [08:48.12] |
落ち着いて 別にそんなじゃないから |
| [08:52.00] |
じゃ 父さんの目を見て |
| [08:54.37] |
どこに行ってか答えなさい |
| [08:56.62] |
納得行く答えを聞くまで |
| [08:58.87] |
父さん ここ動作ないぞ |
| [09:04.62] |
ね 父さん 岡部倫太郎って知ってる |
| [09:11.50] |
ちょっ その名前どこで |
| [09:14.62] |
紅莉栖さんの家にある古いパソコン こっそり見ちゃった |
| [09:20.87] |
なるほど そういうことか |
| [09:24.50] |
ね 誰なの |
| [09:27.25] |
その人は消えたって書いてあったけど |
| [09:30.00] |
父さん 何か知ってる |
| [09:33.00] |
うんん なんつうか |
| [09:36.37] |
僕もその日記なら こっそり見たことあるんだよね |
| [09:41.62] |
「この親にしてこの子あり」だったか |
| [09:46.37] |
女の日記を覗き見するなんで |
| [09:49.25] |
趣味悪いね 父さん |
| [09:52.00] |
牧瀬氏がさ なんであんなにタイムマシンを作ることに拘ってるのか |
| [09:53.50] |
その理由を知りたかったんだよ |
| [10:00.50] |
うん、あたしも |
| [10:02.12] |
岡部倫太郎が誰なのか 正直僕にも分かねぇ |
| [10:07.37] |
でもさ 不思議なんだよね |
| [10:11.12] |
不思議って |
| [10:12.75] |
そんな知り合いいないはずなのに |
| [10:15.50] |
何故か その名前に聞き覚えがあるような気がしてさ |
| [10:19.12] |
しかも ずいぶん昔から |
| [10:21.87] |
それが僕だけの錯覚なら |
| [10:24.37] |
「妄想乙」って済ませられたけど |
| [10:28.75] |
実はさ 真由氏もたまに 岡倫って唐突に呟くことがあるんだ |
| [10:36.12] |
岡倫 |
| [10:37.37] |
「岡部倫太郎」 略して「岡倫」 |
| [10:41.12] |
つまり 僕も真由氏も同じ名前にデジャヴュを感じてるつうわけ |
| [10:46.87] |
そのうえ 牧瀬氏の日記にまで書かれてあってるさ |
| [10:51.62] |
なんつうか |
| [10:53.75] |
気になって仕方ないんだよね |
| [10:56.87] |
牧瀬氏のタイムマシン作りを手伝っただのはそれが理由 |
| [11:01.37] |
鈴羽がテストパイロットになるのを反対しなかったのもさ |
| [11:05.87] |
もしかしたら こうなることを期待していったからかも |
| [11:10.37] |
父さん |
| [11:11.87] |
なあ 鈴羽 |
| [11:13.87] |
娘にこんなことを頼むのは |
| [11:16.25] |
父親失格かもしれないけれど |
| [11:19.50] |
聞いてくれる |
| [11:22.12] |
牧瀬氏のあの日記に書かれた計画を実行するために |
| [11:26.37] |
タイムマシンで2011年へ飛んでほしい |
| [11:31.12] |
鈴羽が小さい頃から牧瀬氏の助手になるために |
| [11:34.50] |
頑張ってきたその覚悟を |
| [11:36.62] |
僕はずっと見てきたよ |
| [11:39.25] |
そんな鈴羽にしか 頼めないことなんだよ |
| [11:44.00] |
どうだ できるかい |
| [11:47.00] |
もちろん 拒否しても構わない |
| [11:50.25] |
あたしは |
| [11:52.87] |
世界の外に存在している誰かに会うためといったところかしら |
| [11:58.50] |
うん 面白い |
| [12:02.62] |
虚しいかな |
| [12:05.62] |
虚しいのにやってるの |
| [12:09.12] |
会ってみたいから |
| [12:12.50] |
あたし やる |
| [12:16.00] |
2011年に行ってくる |
| [12:19.00] |
そっか ありがとう |
| [12:23.00] |
じゃ この帽子を |
| [12:27.62] |
母さんを起こそう |
| [12:29.87] |
一言挨拶していかないとっな |
| [12:32.62] |
ついてに 着ていく服を見繕ってもらおう |
| [12:38.25] |
オーキドーキ |